Fuji-sat3-雷雲と放射線の関係を探るための簡易測定器開発及び実証

Fuji-sat3-Development and demonstration of simple radiation detector associated with lightning activity

 

氏名 新田英智 / Hidetoshi Nitta
所属 東京学芸大学大学院鴨川研究室 / Department of Physics, Tokyo Gakugei University

研究結果の概要
富士山測候所は、冬季には電力が確保できず、立ち入ることができないうえ、気温は-20℃に近くなる。我々はこの場所を仮想的な宇宙環境と見立て、このような過酷な環境を利用し我々の作成した模擬衛星で、価値のある科学データの取得を目指すという宇宙技術者教育プログラムの実践を行った。


今回のFuji-sat3で取得を目指すデータは、雷雲と放射線の関係を調べるためのデータである。雷雲と放射線の関係は近年注目され、第三の自然放射線として研究がすすめられている。我々の研究室においてもアメリカのグループと協力し、これらの研究を行っている。しかしこの研究には放射線および雷活動のデータが必要である。現在これらのデータは我々の研究室で観測機器を設置して観測を行っているが、観測機器の設置条件の問題で、観測は夏期のみになっている。ここで、本研究の目的は、雷雲活動を伴った放射線の越冬観測とする。


冬季、富士山測候所は閉鎖されるため、データを一日に一回一日分の落雷、放射線の総量を自動送信される設定になっている(図1)。また、設置時にはSDカードに保存している1秒サンプリングのデータも半日分回収した(図2)。

 

回収されたデータと、通信によって得られたデータによって、Fuji-sat3が正常に運用されていることが分かった。得られたデータや、製作段階の教訓などをもとに今後さらに改良を進めていきたい。

 

研究成果の公表予定 
今年度中に教育論文として投稿予定

 

図1通信によって送られてくる1日ごとのデータ(放射線カウント最大値、放射線カウント/100、バッテリー電圧、気象庁によって測定されている測候所の日照時間)

図2 設置時にSDカードから回収された1秒サンプリングのデータ 。2016年8月28日と29日のデータ。この二日間のうちに落雷はなかったため、落雷回数と距離のデータは存在しない。